毎日いろいろな女性たちに出会う。
作業の時間だった。
縫い進めていた糸が
一人の女性の手元で固くもつれていた。
「どうしたらいいでしょうか。
私の人生のようです」
ほどこうとして針の先でもつれた糸に触れると
糸は今にも切れてしまいそうになった。
「あぁどんどん酷いことになっていきます。
今日までいいことは一つもなかった」
力ない声が詩の朗読のように響いてくる。
「仕切りなおしましょう」
ハサミを入れた。
「少しだけほどきますが
ここまで縫った分はこのまま無駄にせず留めますね」
彼女が手にした針に
新しい糸を通す。
彼女は黙々と丁寧に縫い進めていく。
こんがらがった糸の話。