ぶっきらぼうな女の人だった。
言葉づかいもどちらかといえば
乱雑な人だった。
それでもどこか
投げかける言葉の中に
温かさを秘めている人だった。
私はその人のことが好きであった。
今の活動場所では
一人ひとりとの時間に限りがあり
その場所を離れた後はなかなかつながらない。
それはいい部分でもあり
また
心のどこかで
「元気でいるだろうか
へこたれないでやっているだろうか」と
気になるところだ。
彼女は編み物をしていた。
唐突に「編めた!」と言って
投げるようにして渡されたのは
マフラーであった。
それはその人らしい場面だった。
その人が移る朝
わたしは思わず「またね」と呼びかけた。
振り向きざまに「ありがと!」と彼女が返事をして
そのまままっすぐ前を向いて行った。
元気でやっているだろうか。
もうすぐ寒くなる。
重たい荷物を少しずつほどいて
シアワセであるように。