禅略。水木しげる様

年齢を重ねると

誰かの死が増える。


会ったこともなく

実際の交流もなかったくせに

その人がもうこの現世に

不在になってしまったのが

寂しい。


そういう存在がある。


水木しげるさんがそうだ。


いわば

河童の三平のたぬ吉の如く

もう行ってしまうのかーと感じる。


子どもの頃よりも

もっと

大人になってからは余計に

水木しげるという人を通して現れてくる

異界が好きであった。


まだ鬼太郎が

正義の味方というわけでもなく

生きづらさをボヤき

時にはネズミ男のスルメをかすめて

一人で食べてしまう。

その頃の鬼太郎が断然好きだ。


死神もたぬきも河童も

カバンの中の小人も

皆どこか調子っぱずれで

すっからかんで

あったかい


夕べ

訃報を知ってから

「河童の三平」を引っ張り出したが

どうも寂しくっていけない。



しかし

どこかで考える

水木さんならきっと

冥途への道筋も

好奇心旺盛にして

ゆるりと歩いているのかもしれない。