毛むくじゃらの黒いかたまりのような小さな命だった。
ネコのために引越した仲間がいる。
元々の飼い主の事情か何かで
置いてきぼりになったのを
この人が自宅に連れて帰って
とうとうペット可の住居へと
なけなしの貯金をはたいて越したのだった。
写真をもらってみると
真っ黒だ。
仕上がった絵を持って
彼女の仕事場を訪ねたら
鼻の頭にひっかき傷をこしらえている。
どうやら子猫はたくましく育っているらしい。
長靴をはいたネコ
というには小さいが
そのうちに彼女に幸福を招くかもしれない。