今日迷子になりかけた。
以前は路地が沢山あるまちで仕事をしていたので
仕事場までの道順を
その日の気分で変えてみたりして
猫みたいに気ままにシュッキンできたのだ。
細い路地裏を歩くと
家の中からテレビの音が聴こえたり
時には頭上で会話が聞こえると思ったら
洗濯物を干しながらご近所さん同士がおしゃべりしてたりなんかした。
匂いと音のある街は
夕暮れになると商店の店先にぶら下げられた
飾りのない電球がピカピカ光っていた。
今は整然と
家が立ち並ぶまちに通っている。
匂いと音がない。
まちを歩くというのもほぼしていないので
ちょっとコースを外してみたら方向を見失って
遅刻ぎりぎりになってしまった。
再開発で路地の沢山あるまちに変えるとか
聞いたことがないので
残念至極だ。
雑然とした町並みには
たゆとうような空気がある。
水たまりに空があるようなそんなまち。
世は間逆の方向に進みつつある。
整然として
寝転ぶことを許さないベンチと
閉じられていく公共。
消えていく横丁の草迷宮。