小型の織り機と糸の見本帳が届いた。
糸の世界を初めて知る。
水彩絵のような糸もあれば
鳥がさえずるような動きのある糸もある。
見ているだけで鼓動が速くなる
これは一つの世界だ。
が
見てウットリしているだけですまない。
糸を決めるのが今回のミッションだ。
一緒に梱包されていたお菓子をほおばりつつ
胃がしめ付けられる。
お菓子は1回に一つにしようと思った。
「…どうしようこれ」と半分パニックになる。
糸を織るのはやったことがない。
とりあえずは段ボールの方の見本を見ながら
マネっ子してみる。
心に余裕がない。
織り機には憧れていたが
もう使い方を模索している余裕がない。
縦の糸
横の糸
あっこれ歌にあったよね。とか
鶴の恩返しなどの昔話の中では
トンカラトンカラとリズムがあったはずだが
あれはいわば熟達している腕の者だけが奏でられるものだったのか。と考え
あるいは
鶴って何で「みーたーなー」となったのだろう。
ホントは織っている姿は鶴であること以前に他人に見せられない塩梅であったのだろうか。
などと最終的には
五寸釘のイメージまでたどり着いた。
段々と楽しくなってくる。
猫も動く糸を面白がって
遊んでもらっていると勘違いしている。
お菓子ももう1個くらい食べれそうな感じだ。
改めて調べてみると
さをり織りとは
教えないモノであって
思いのまま、感性のままに織ること
「差異」をもそのままに織る。
自在につくるということらしい。
この糸が
どうかこの先へ生きていきますように。