へび花火というのは、モコモコと黒い塊が伸びていくモノだった。
そもそもあれは花火だかどうかも思えば怪しいものだ。
たまに知らないうち
墨でも握ったかのように手が真っ黒になっていて
自宅に戻ってから「アレ」のせいだと思い当たるような塩梅だった。
それでも華々しいばかりの花火とは明らかに異質な
どちらに向かって伸びるのだか予測がつかない
生き物を見るようで不思議な魅力を感じたものだ。
駄菓子屋に売っていた「妖怪けむり」なども好きだった。
指を閉じたり開けたりするだけで白いホコリが舞うアレだ。
パッケージに描かれた「お化け屋敷」の入口のような絵柄が魅惑的だつた。
あの絵の雰囲気は子どもの頃によく行った多摩川園遊園地のお化け屋敷の入口だ。
よくお化け屋敷の前で
入りたいのに入れず躊躇して
腕を引かれると恐ろしくなって抵抗したのを思い出す。
一度外で待っているとき、
裏口から白い着物に三角を頭につけたお化けがするりと出てきて入ったのを見かけた。
あの頃は「お化けも大変だ。給料はいったいいくらだろう。バイトかな。」など考えなかった。
ただ子ども心に「あぁ」と何か腑に落ちる感覚があったのを覚えている。
ここまで書いてみたものの、絵とまったく関係ないことばかり頭にわいてきたので
おしまい。
*スケッチ/弁士のいる風景