2月の末
祖母が死んだ。
それは母の誕生日の日だった。
祖母が元気だった頃
初夏には祖母のふる里から
さくらんぼが送られてきた。
食卓に沢山あった赤い実。
それが値のはるモノと知らず、考えず
皿の上の実をうっとり眺めながら食べていた。
数年前からは
ほぼ寝ていた祖母と
毎回
別れる際には
必ず「またね」とハグしていた。
それは何処かで
これが最後かもしれないと覚悟していたせいだ。
先日、遺品の整理にでかけると
いつも祖母が寝ていたベッドが在った場所に
障子越し
明るい陽が射して
ぽっかりしーんとしていた。
時間は流れる
季節は移る
宇宙の一部として巡っていく
わたしも
*イラスト
「グリーフサポートステーション・サンザシの家」リーフレット表紙