葬儀に出る機会が増えると
お経の長さ、短さの差があるものだと気づく。
義理の父の葬儀は
やたらお経が短くて
まだ焼香している人が続いているのに
PAに不具合でも生じたかと思うほどぱったりと止み
かと言って坊さんの方は慌てるでもなく
そのまま前を向いて静かにしている。
後から聞いたら義理の母が「短めで」と
注文していたらしい。
もう一つの葬儀などは
「あっ坊さん来た」と思ったら
むにゃむにゃっとして退出をした。
おそらくこれは故人の取り決めだったのだと思う。
祖母の葬儀の日は
1時間近く読経がつづき
壊れたレコードかと思うほどであった。
親戚が言うには「お布施沢山包んだからがんばっちゃったかな」
ということで
今度の納骨式の日には「少し短いところでどうか」と頼むことにしたようだ。
お経の長さによって
召された魂に与える何かに違いはあるのだろうかないのだろうか。
エコノミークラスとビジネスクラス
豪華客船と渡し舟
死後ルールは一体どうなっているんだろう。
ふとそんなことを考えつつ
まだ49日前なので
家にいるはずの祖母に
聞けるのであれば教えてもらいたい。
*イラスト/神楽坂の大黒