山谷玉三郎の風呂番

今日

偶然に玉さんに会えた。


わたしが風呂番をすることになった。


それは光栄なことだった。


熱めの湯をはる

私はただ待っている。


湯上り

「さすらい姉妹」か

台詞が口を突いて出た。


それはしみじみと

沁みてくるようであり

演じているというよりも

その人の言葉そのもののように伝わってきた。


一幕


表にはテツという犬が

すっかり大きくなって悠々と散歩をしている。

ネコが歩く。

日は暮れていく。








音のない声

身体と心の結びつき


深い傷つきで

声をなくした人は


音のかわりに

ただ黙々と紙を折っていた


どこまでも

あふれるほど

部屋いっぱいに

その人の手の中から

くずかごに入れられる運命だった紙が

様々なカタチになって生まれては

広がっていく


誰に見せるわけでもなく

つくらざるをえなかったモノ

声があふれる